OWS(オープン・ウォーター・スイム)安全対策

バラキンのレース後、スイムでDNFされた選手がいたことを知りました。ブログでもうねりや海水の透明度が悪くて恐怖感を覚えたという方もいらっしゃるようです。トライアスロンIN徳之島でも海のコンディションが悪く、残念ながら2名の選手が心肺停止されたようです。

これから書くのはトライアスロン初心者の方へ、自分の経験と失敗から得た安全対策です。すでに複数の方々が安全策について書かれているので重複するのは避けて、特に重要だと思えることだけを書きます。

1. レース前にウェットスーツに慣れておく。
アメリカでも日本でもレース直前にウェットスーツを新調される選手がいらっしゃいます。もしくはレース当日に初めてウェットスーツを着るという選手もいます。ベテランのスイマーが同じモデルのウェットスーツを選んだとしても伸びや遊びが変わります。練習で何度か使われてからレースに望まれることが必要だと思います。

自分が教える場合はウェットスーツを着て波の下をくぐって抜けることと、沖まで連れて行って仰向けに浮く事を最初に教えます。疲れてしまった場合や気分が悪くなった場合は仰向けになって浮く事でリセットできる事があります。

2. OWSに対する恐怖心を克服する。
トライアスロンを始めたばかりの選手から聞かれるのは「サメに襲われないか心配」「海の中は魚や知らない生物がいて怖い」というもの。

ボクはダイビングもやるので年間を通して海に入っていますが、今まで人を襲う種類のサメに遭遇したことがありません。理由は、そういうサメの居る場所に近づかない。ホオジロザメなどが目撃されれば立ち入り禁止になるので、そういった水域に近づかないというのは常識ですね。

トレーニングやダイビング中に出会った大型の動物はイルカ、アシカ、エイでしょうか。しかしほとんどの場合人間を恐れて逃げてしまうので心配はありません。暗い海の底から何か怪物が襲ってくるなんていうのは映画が作ったものです。恐怖心が生まれるのは理由の無い妄想なのですが、それでも恐怖心は取れません。克服するには海に出るしかありません。何度も海や湖で泳ぐことで克服するしかありません。

3. スイム会場が海の場合、少なくとも4回程度はレース前に海でトレーニングをする。
トライスロンは自然の中でおこなうスポーツですから毎回同じ環境とは限りません。時には潮の流れが速かったり、海が大きくうねっていたり、強い風に吹かれて細かい波が発生している時もあります。最低でも4回行けば1回は海が荒れた状況もあるはずです。その時に泳いでいればレース当日に驚くことは少なくなります。

自分の体験からいうと、最初にウェットスーツを着て400メートルほど泳いだ時に「自分はこのまま心臓発作で死ぬかもしれない」と思いました。そのくらいウェットスーツが窮屈だと感じたし、波に揉まれながら底の見えない海で泳ぐのは恐怖でした。そこから2ヶ月間必死にスイムのトレーニングをやりました。毎週末土日は近くの海で泳いだり、ボディーサーフィンをやって波に慣れるようにしました。

2009年ロスアンゼルス・トライアスロン。レース当日はメキシコ湾で発生したハリケーンの影響でロスの海岸もひどい荒れようでした。スプリントでは50%の選手がライフガードに静止されて浜にもどされました。オリンピックでも40%の選手が戻されました。そんな状況でも17分で泳ぎきれたのは二ヶ月間の特訓のおかげだと思います。

特に大波にのまれて洗濯機状態になった場合パニックになるのは避けられません。ボクはわざと大波にのまれるトレーニングをすべきだと思います。その際必ずベテランのスイマーがいる事が条件ですが、出来るだけ浜に近いブレイクポイントで波にのまれます。その際両手は胸でX字に組んでおきます。のみこまれて上下が変わっても必ず明るい方を見るようします。つまりそこが水面ですから、息を止めたままじっと水面に浮かぶの待ちます。一番最悪なのは四肢をバタつかせて無駄な労力を使い酸素を浪費することです。これを何度か繰り返すと波にのみこまれても冷静に対処すれば浮き上がってくるまで息が持つ事を実感できます。

ちなみにボクの所属するクラブのスイムはこんな状況、ちなみに今週の土曜日のトレーニングです。この浜はサーフポイントなので波があるのが普通、凪というのは滅多にありません。海に浮かんだ4つのブイを時計回りに泳ぐのですが、行きは逆潮で押し戻され、しかもうねりがあるので体が浮く時もありました。それでも毎週こんな状況だと慣れるしかありません。日本では海の無い県もありますが、自分のレース会場が海ならば時間とお金が許す限り海でのトレーニングをするべきです。

4. 水中バトルを避ける。
バラキンはフローティングスタートで、ボクにとっては3度目の経験でした。今回は徹底してバトルを避けることに集中しました。スタートのホーンがなっても他の選手がいなくなるまで立ち泳ぎをして、後方から隙間を見つけて追い抜く方法をとりました。もちろんスイムに自信があってどんな状況でも泳げる方は別ですが、初心者やスイムが苦手な方は無理をすべきではありません。最初に10-30秒の遅れがあったとしても3.5キロを泳ぐ場合その差は微々たるものです。上位入賞を狙うような場合は別ですが、最初に30秒遅らせてスタートしてもバトルで体力を消耗するよりは有利にレースを運ぶ事が出来るはずです。

また偶然にバトルに巻き込まれた場合はスペースの空きを見つけて、逃げることが必要です。これも冷静な精神状態ならば可能です。できればトレーニングの段階にグループスイムで似たような状況を作る事が必要です。例えばプールならば1レーンに5名、前に3名後ろに2名のスイマーが一斉にスタートして追い越しや追い越される立場になる経験をするなどがあります。

5. ブイを確認できない場合
丘から見た風景と水面から見た風景は違います。今回のバラキンでは前方スイマーがあげる水しぶきでブイが確認出来ませんでした。もしくは波があってブイが見えない場合、ブイではなく陸上の目標物を設定する事が重要です。例えば目立つ高いビルとか山の形を目標にすることが必要です。もちろん沖に向かって泳ぐ場合はライフガードのジャケットを目印にして、それがブイのどちら側にあるのか目安にすることは出来ます。

トライアスロン競技者人口が増える事は喜ばしいことですが、それに伴って事故も増えてきました。競技者自身が注意する事で避けられる危険もあると思います。どうか安全第一でトレーニング、レースを行われる事を願います。

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OWS(オープン・ウォーター・スイム)安全対策」への4件のフィードバック

  1. ごもっともです。
    海での練習を教えていただいたおかげでOWSはようやく慣れました。 もっと前から始めておくべきでしたが、なかなか情報が無かったので助かりました。 後、海での課題はSightingです。 コーチが息継ぎ2回に一回は前を見るようにと言っているので、練習はしてますがなかなか上手い具合にいかないです。

    いいね: 1人

    • Sightingについては状況次第ですね。波や潮の流れが緩ければそんなに確認する必要はありません。水中バトルだと方向がわからなくなることもありますが、バラけている状況なら回数は下げても大丈夫です。先週の海は荒れていたので頻繁に確認しないといけませんでした。

      もう一つは真っ直ぐ泳げるかどうかです。真っ直ぐ泳いでいるつもりなのに曲がってしまう場合はフォームを変える必要があります。これはトレーニングで第三者に見てもらう必要があります。

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  2. 1から5までそのとおりですね、同意します。
    荒れた海で泳いで経験を積むのは是非とも必要だと思います。
    命がかかっているのですからね。

    いいね: 1人

    • バラキンで出会った選手のブログを読むと海のうねりで気分が悪くなったというコメントが多くて心配になって書きました。海無し県にお住いの方には難しいかもしれませんが、あえて書かせていただきました。それで事故の危険性が下がるのであれば無駄な投資だとは思いませんよね。

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